▶ヤカンの木

 

いよいよ来週からゴールデンウィーク

本社は９連休で支社はといえばカレンダーどおりで

かつ給料は今月からカット

唐突ですが皆さんはヤカンの木をご存知だろうか。
まことしやかに囁かれているたぶん都市伝説の類だろうが

木にヤカンがなっている

以前から気になっていたことだが・・・
ウワサのヤカンの木が断片的に夢に出てくるときがある。

別に危惧するようなことではと？
訝しいその内容は決まっていてがんじ搦めになり
短時間だが身動きがとれなくなる。

ところで肝心のヤカンをご存知だろうか。
写真のようなアルマイト製で黄金色をしているヤツだ。

小さい頃、かなり難度が高いが足を突っ込んで取っ手を掴み
草スキーをしていた記憶がある。※２個必要

遊び呆けて、夕方家に帰るとお袋がヤカンを探している。
当然知らんぷり、今思うとこれが記憶に残るウソつきの始まりだった・・
このとき裏山に隠したヤカンは底に穴が開いており使える代物では
なかった。

夢のハナシだが、まだ続きがあって
寂れた工場の跡地をスローモーションのように歩いていくと
その奥に１本の木が立っており、その前で夢が忽然と終わる。

どこかで見た風景だが、どうしても思い出せない。
けどこの夢の真実を知るにはこの場所に行くしかなさそうだ。
こうして「ヤカンの木」を探す旅が始まった。

しばらく忘れていたがコタツのユメ写真の奥に見慣れたマンションが

あるのに気づく

１階が自宅だがこのマンションの屋上に似たようなアンテナが立っていたからだ。
急いで屋上に上がり、周囲を見渡すと西の方角に同じような光景が

高まる気分を抑え現場に到着すると、確かにこの場所である。
そして1本の木に目が吸い寄せられる。
直感的にこれが「ヤカンの木」だとそのとき確信した。

 

 

恐る々近づいてみると

ただならぬ気配がし木の中央付近にとても自然のものとは
思えない人工物があるのに気づく。

 

 

丸みを帯び

その色といいどこか記憶の底から蘇るその姿をヤカンと把握するまで
時間はかからなかった。

木の成長とともに枝の間に挟まり

抜け出すことが出来なくなったヤカンの結末。

 

 

何気なく正面に廻るとヤカンの底から陽の光をとおして

一筋の光明がみえるではないか。
それは底に僅かに開いた穴からのもので2個ほど見える。

その現実を目の当たりにして意外なほど冷静な自分がいた。
そう、これは草スキーで使ったときのヤカンだ、間違いない

穴はたしかに同じ場所に開いていた。

あのときのウソをお袋が戒めたように思えた。
そう風の音に混じって
きっといつまでも正直に生きろと・・・

 

 

 

 

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